遺伝情報研究
部門について
遺伝情報研究部門の
研究内容
遺伝情報研究部門では、「生理活性ペプチドの探索・立体構造解析」と「生理活性ペプチドの機能解析」を中心に研究を進めています。
私たちのからだの中では、受容体にリガンドが作用することによって多くの生命現象が営まれています。近年、さまざまな生物のゲノム配列が解読され、ゲノム中にはGタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor、GPCR)が数多く存在し、その大部分は内因性リガンドが不明なオーファンGPCRであることが明らかになりました。
リガンドの中でも生理活性ペプチドは、食欲、覚醒、代謝、ストレス、生殖、免疫、ガン転移などのように重要な生命現象を担うものが多いことから、生命現象の解明だけではなく、創薬のターゲットとしても注目を集めています。このことから、オーファンGPCRの内因性リガンドを同定し、その機能を明らかにしていく研究により、新しい薬剤の開発や治療法が産み出されることが期待されます。
生理活性ペプチドの探索と立体構造解析
近年、オーファンGPCRに対するリガンド探索法が次々に開発され、新しい生理活性ペプチドの発見が相次いでいます。遺伝情報研究部門では、これまで培ってきた技術や情報を生かし、さらなる新規生理活性ペプチドの同定を目指して探索を進めています。
またGPCRの立体構造解析を通した、リガンド認識機構の解明にも力を入れています。GPCRがどのようにして生理活性ペプチドをリガンドとして認識し、細胞内にシグナルを伝達しているのか、GPCRの立体構造決定と構造情報に基づいた生化学実験から、その分子機構を明らかにする研究を進めています。
グレリン(ghrelin)の
機能解析
グレリンは胃から精製されたペプチドホルモンです(Kojima et al.:Nature、1999)。主な生理作用として、成長ホルモン分泌を促進したり、摂食行動を促進することが知られています。
また、グレリンを連続投与すると体重増加や脂肪組織の増大が見られることから、グレリンは、抗肥満ホルモンであるレプチンに拮抗する作用を持つと考えられています。また、最近、グレリンが自律神経機能を調節する作用を持つことを見いだし、その機序についての研究を進めています。
昆虫の内分泌制御機構
動物は温度や栄養条件、日長などの環境変化に応じて、代謝や行動などの体内システムを調節しています。このような環境変化の受容と体内システムの制御を仲介するのが、内分泌ホルモンです。
私たちは、昆虫をモデルとした内分泌ホルモンの単離と機能解析により、動物の環境適応メカニズムの解明を目指しています。また、内分泌ホルモンの人為的操作による害虫防除も視野に入れた研究を進めています。