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第78回日本薬理学会西南部会において、椎村が発表しました。

11月8日(土)に開催された第78回日本薬理学会西南部会(宮崎大学 木花キャンパス[宮崎])において、椎村 祐樹(遺伝情報研究部門)が発表しました。

演者:椎村 祐樹、伊藤 幸裕、イム ドヒョン、岡田 咲良、木瀬 亮次、岩田 想、井上 飛鳥、鈴木 孝禎、佐藤 貴弘

演題:[P-20]グレリン受容体を標的としたポジティブアロステリックモデュレーター探索の試み

本研究では、成長ホルモン分泌促進や食欲調節などに関わるホルモン「グレリン」を認識する“グレリン受容体”をターゲットに、新しい薬の候補となる低分子化合物の探索を行いました。近年注目される「ポジティブアロステリックモデュレーター(PAM)」は、体内のホルモンの働きを自然なリズムのままやさしく後押しできる点が特徴ですが、通常の方法では見つけにくい課題がありました。

今回、私たちはDNA-encoded library(DEL)という、膨大な種類の化合物を一度に調べられる技術を用い、グレリン受容体と直接結合する化合物を探索しました。その後、細胞内のCa²⁺応答を測定することで作用を解析し、複数の化合物がPAMとして働くことを確認しました。本成果は、グレリン受容体の新しい作用メカニズムを理解する基盤となり、将来の創薬につながる可能性があります。

【用語解説】

● グレリン:胃から分泌されるホルモン。食欲を高めたり、成長ホルモンの分泌を促したりする。

● グレリン受容体グレリンというホルモンを認識し、その信号を細胞の中に伝える役割をもつタンパク質。がんの悪液質や摂食障害、サルコペニアなどの治療標的として注目されている。

● ポジティブアロステリックモデュレーター(PAM):ホルモンが働くのを“軽く後押しする”タイプの化合物。単独では反応を起こさず、ホルモンの働きがあるときにだけ増強する。

● DNA-encoded library(DEL):DNAのバーコードを使って、数百万〜数十億種類の化合物を一度に探索できる技術。創薬研究で近年広く利用されている。

● Ca²⁺応答:細胞内のカルシウムイオン濃度の変化。受容体が活性化したかどうかを調べる指標として用いられる。