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[論文]椎村(遺伝情報研究部門)がThe Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)誌に共同研究者として論文を発表しました。

東京科学大学、東京農工大学との共同研究において、椎村祐樹(遺伝情報研究部門)がThe Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)誌に共著論文を発表しました。

Structural insights into biased signaling at chemokine receptor, CCR7

Kotaro TanakaKouki NishikawaYuki ShiimuraYoshinori Fujiyoshi, and Naotaka Tsutsumi

PNAS, 123 (18) e2533975123, 2026. 


私たちの体の中では、免疫細胞が必要な場所へ正しく移動することで、感染防御や体の異常への対応が行われています。この“道案内”の役割を担っているのが、CCR7という受容体です。CCR7は、CCL19とCCL21という2種類の情報分子を受け取ることで免疫細胞の動きを調節します。しかし、この2つはよく似た分子であるにもかかわらず、細胞に伝える指令の内容が異なることが知られており、その違いがどのように生まれるのかはよく分かっていませんでした。

本研究では、クライオ電子顕微鏡による立体構造解析とコンピューターシミュレーションを組み合わせることで、CCR7がCCL19とCCL21をどのように受け取り、それぞれ異なる反応を引き起こすのかを詳しく調べました。その結果、CCL19とCCL21はどちらもCCR7の同じ場所に結合するものの、結合のしかたに違いがあり、その違いによってCCR7の細胞内側の動き方が変わることが明らかになりました。

特に、CCL19が結合した場合には、CCR7はより柔軟に動ける状態となり、細胞内でシグナルを調節する別のタンパク質が結合しやすくなります。一方、CCL21が結合した場合には、CCR7はより固定された状態となり、その調節タンパク質が結合しにくくなります。つまり、似た情報分子であっても、受容体の“動き方”を変えることで、免疫細胞に伝える指令の種類や持続時間が変わっていたのです。

本研究は、免疫細胞の移動という私たちの健康を支える基本的な仕組みにおいて、受容体は単に分子を受け取るだけでなく、その後の細かな構造変化によって情報を選び分けていることを示した成果です。なお、当研究部門では主にCCR7の細胞内シグナル解析を担当しました。今後、免疫反応をより正確に調節する新しい治療法の開発につながることが期待されます。